安藝動物病院

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2018.9.5 過去ブログ 【症例紹介 脾臓腫瘤破裂による腹腔内出血を呈した犬の1例】

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突然の活動性低下を主訴に来院されました。

 

いつも元気なワンちゃんなのですが今日は診察室で元気がありません。立ち上がるのもやっとです。

身体検査で体温が低く、口腔内粘膜の色が白いです。心拍数も早くなっていました。

 

 

この段階で、ショックの可能性を考えます。

飼い主さまに緊急性疾患の可能性があることをお伝えし、迅速に検査、治療に入ります。

 

すぐに超音波検査で腹腔内出血、胸腔内出血、心嚢内液体貯留の有無を確認します。

(FASTと言います。ドラマのコードブルーでも初療室ですぐに行われていますね。)

同時に血液検査も進行中です。

 

 

 

腹腔内FASTで脾臓を中心とする液体貯留が認められました。脾臓は巨大になり、小さな体の大半を巨大腫瘤が占めています。胸腔内、心嚢内に液体貯留は認められません。

脾臓腫瘍 超音波画像 犬

犬 脾臓腫瘍 超音波画像

巨大な脾臓腫瘤です。

すぐにスタッフに指示を出し、点滴、各種検査、緊急手術を行う準備をしてもらいます。

 

腹水検査の結果、貯留液は血液とほぼ同じ成分で、現在進行形で出血が起きている可能性が考えられました。

 

 

この段階で血液検査の結果も出て、重度の貧血を呈していることがわかっていました。

 

FASTのあとは静脈留置を確保し、点滴を急速に行います。血液を大量に失ってしまうと血圧が低下し、救命できません。時間との勝負です。輸液を行いながら血圧測定を行います。

 

急速輸液に反応してくれて、血圧も維持できてきました。しかし、心臓は血圧を保つために、頻脈になっています。

 

 

状態がやや安定した段階で、胸部、腹部の画像検査を行い、腹腔内出血の原因は脾臓の巨大腫瘤の破裂によるものだと確定しました。幸い、ほかの場所に出血や、がん転移所見は認められません。

脾臓腫瘍 レントゲン画像

画面中央に丸く見えるのが脾臓腫瘤です。

飼い主様に、一刻を争う状況であることを説明し、手術の同意をもらいます。

飼い主様は危険な状態であること、治療の必要性を理解して任せてくださいました。

あとは全力を尽くすだけです。

 

すぐに手術に取り掛かります。

 

開腹すると血液で腹腔内が満たされています。注意深く腹腔内を探索し、脾臓を優しく持ち上げます。脾臓は巨大な腫瘤を呈しており、一部が破裂し、出血しています。

脾臓につながる大血管を注意深く、素早く結紮し、脾臓を摘出、ほかに出血部位がないことを確認して閉腹です。

 

麻酔覚醒時には輸血の準備も完了し、すぐに輸血を開始しました。

 

麻酔からも順調に覚醒してくれました。

来院から、検査、手術、輸血の実施まで約3時間でした。

 

かなり迅速に治療を行うことができました。

1年目、2年目のスタッフが育って来ています。

検査、治療をスムーズに行うことができ、今回の治療につながりました。

 

 

まだまだ、今後注意は必要ですが、1つ目のヤマは超えてくれました。

一安心です。

今後も注意深く治療を継続していきます。